唐突ですが実はワタシ、ブログ開設5周年的な企画で どなたかに
お話を伺ったりなんかしてみたいなーと、ひそかに思ってたんですわ。
そしたら運良く、静岡でmicrotoneというダンスミュージックのユニットを
されているmiyaさんにお話を聞けることになりました。

ほぼ同じような年齢であり、バリバリのミュージシャンではなく
本業会社員というところに いろいろ勝手に共感を覚えてしまい
今回の件をお願いした次第です。

とはいえ、インタビュアーなんてやったこともなく
真夏の中年対談(失礼!)的陽気な展開を心がけたものの
ものすごく地味な聞き方ばかりしてしまいました。

不慣れ(不勉強)なインタビューにお付き合いいただいたmiyaさん
ほんとうにありがとうございました。
私自身、いつからかその存在を知ったmicrotoneを
もう一度基礎から勉強するいい機会となりました。


それでは、いきなり問題作(?)「中年EP」の話からスタートします。
リンクや試聴サンプルと合わせてお楽しみください。



──わたくしはmiyaさんとほぼ同世代ですんで「中年EP」っていうストレートなタイトルにビビった記憶があります。
どこでどうなって「中年」という曲ができあがったのでしょうか?
一瞬、知らない人からすれば、ちょっとおちゃらけた曲だと思われるかもしれないけど、サウンドはすごくクールでした。

ありがとうございます。そう言っていただけると嬉しいです。
『中年』は僕達が差し掛かろうとしているもうすぐ40歳世代のアンセムのつもりで作りました。通勤して、仕事して、社会的に揉まれて、ちょっと責任もあって、それでも余暇でどうしても音楽を作る女の人を描いたラップです。
それから、Strawberry MachineのオカベさんにSっぽいラップをして
貰いたかったという目的もありました。






──中年って、できれば目をつぶりたい部分というか、音楽に携わっている人なら、なおさら「俺はまだまだ若い」とか思いたい人が多いでしょうけど...。
同世代の人からはどのようなリアクションがありましたか?

ノーリアクションです。テーマがアレなので怖くて訊けません。
しかし、この曲をきっかけに興味を持って下さった方も少なくないようです。
メイル等で、何件か、とても良い評判を頂きました。


──興味を魅かれた人は多いと思います、あれはすごいインパクトでした。
月並みな質問ですが、同世代ということでmiyaさんがどのような音楽を聴いて育ってこられたか興味があります。

中学、高校で久保田利伸と岡村靖幸を少年時代に聴きまくっていました。
最近気づいたのですが、何曲かはフェイクまで完コピできます。
接待で行くカラオケスナック等でよく歌ってます。

世代的に、必然的にフリッパーズ・ギターの影響が大きいので、その流れで
クリエイション、エル、4ADなどのレーベルを好んで聴いてました。
大学で、そういうのを好きな人たちが、そういうレコードを買いまくるサークルにいた影響です。その流れでソフトロックやソウルのレコード。なので、2007年頃にHere,play pop!で紹介されている記事のレコード、結構持ってます。


──なんという素敵なサークル! うらやましい。
よろしければそのサークルの活動内容ですとか、面白いエピソードなどがあればお願いします。miyaさんは札幌にいらっしゃったそうですが、それはその大学時代ですか?

そのサークルは、池袋にある立教大学の『クラブDJ』というサークルです。
夏になると、苗場のペンションにスピーカーとターンテーブルを持ち込んで合宿です。今でもその時の友人と『noreturn』というイベント等をやったりしています。当時は、サバービア系ソフトロックとかハウスとか、そういうのを聴いてました。
みんな音楽が好きで、幹部の方が色々手を尽くして学祭でかせきさいだぁやヒックスビル、バンバンバザールとか曽我部恵一さんなんかを呼んでいました。
曽我部さんは確か僕らの3つくらい上級生でサインとか貰ってました。

札幌は、そのあとの赴任先です。そのときに、mini kyuteの7インチを買って、
札幌すげーってなりました。あとで静岡に帰ってからmini kyute斎藤氏とは
連絡を取り合うようになるのですが。

mini kyute - I Believe In Miracles (Jackson Sisters Cover/2001)


札幌では自主制作でCD作りました。去年委託販売先のレコ屋に行ったら、
未だに売れずに在庫になってて悲しかった。


──ありゃりゃ!ちなみにそのCDはどんな感じの作品でしょうか??

a little bit of noreturn』というタイトルのCD-Rで、札幌の発見洞という
レコ屋さんで委託販売していました。その後、Musieの前身のNEXTMUSICで
フリーで配信してました。
この中の『midsummer's lament』というモー娘。のカットアップハウスを 当時高校生位のtofubeatsさんが夏になるとかけまくってたっていうんです。ご本人にDMで教えて頂きました。その時は、世代が繋がったなー、って感じました。


──あっ、そのエピソード聞いたことあります!
miyaさんの発言かtofuさんのか忘れましたが。どこかで(ネット上で)見ました。そしてその曲、聴いたことありました。
受け継がれていくカットアップ魂・・・エエ話!


◆a little bit of noreturn
フリーダウンロードいただきました!! →→ https://bit.ly/nrcd000
Here,play pop!が読んだのはこのページかも知れません。



──tofuさんで思い出して、全然話は変わるのですが
数ある「星間飛行」のリミックスのなかでも私はmiyaさんのリミックスが一番好きです。ベースですかね、ぐわーん(ドゥーン?)って鳴る音の空間...
あれがすごい気持ちよくて。

ありがとうございます。シンセ単音一発って、昔から好きで多用しています。


(Here,play pop!が自宅で愛聴しているのはリミックスVer.3です)



──もう少し音楽の好みをお伺いします。miyaさんが好きな「ヒップホップ」を教えていただけますでしょうか? いっぱいあれば、いくらでもお願いします。

ヒップホップ的なもので好きなのはトライブ・コールド・クエストと、
Nujabes、SUIKA、Small Circle of Friendsとかせきさいだぁです。
サンプリング音楽を作ろうと思ったのは、1992年頃Deee-Liteを初めて聴いた時です。潰れたサンプリングのドラムの音色とレコードノイズにやられました。

トライブはこの曲が一番です。
A Tribe Called Quest - Electric Relaxsation

Deee-Liteはこれです。ドラムの質感、最高です。
あと歌のメッセージも。
Deee-Lite - Good Beat


──トライブは私も大好きです。最初の3枚くらいはよく聴きました。
Deee-Liteも最高ですねー。特に1stはすごい好きです。
あ、miyaさんの曲にかせきさいだぁテイストを感じるときがあります。
夏っぽい?せつない? 何でしょうねー。

かせきさいだぁが好きなので、自然に似ているのだと思います。
あと、ラップの声がやや似ているような、、、自分で思ってるだけですが。


──似てます!渋声。
(久保田利伸をスナックで熱唱する姿は想像できませんです...)
それでは「ハウスミュージック」でお好きなのはどんなのでしょうか?

ハウス的なものはいっぱいありますが、その時代によって好みが変わります。
僕の世代だと、Morel Inc.のWhy not believe in him? なんかがアンセムだったと思います。
2005年頃、FreeTEMPOが好きでたまらなくて、リミックス大会に作品を出したりしました。(これが偶然入賞して、『IMAGERY』の特典CDに収録されたりしました。) 今なら、Maltine Records周辺の音楽が好きで良くダウンロードして聴いてます。

うちのレーベルのhi-channel!くんが、ブート(ハウスビートを足した大ネタポップス)を作りまくってますが、いまはそういうものの入手や製作が容易なので、最近はDJで12インチを使うことが少なくなりました。


──私がハウス的なのにハマってたのは1992〜93年ごろで、フランキー・ナックルズ、デビッド・モラレス、ロジャーSとか。いいDJがいい曲を作ってました。たしかに時代によって好みも変わるし、ハマるタイミングとかも人それぞれですもんねー。FreeTEMPOのCDに収録ってスゴイです。あと Maltineは私も気にしています。

ではでは、思いっきり話が戻りますが
いまの気分でフリッパーズの曲を1曲選ぶとしたらどの曲でしょうか?

アクアマリンです。夏っぽいっということで、、、

宣伝ですが、Softly!というレーベルの
The Sound Of SOFTLY! Vol.2~tribute to Flipper’s Guitar~』で、
"The Chime will Ring"のカバーをやりました。これは31歳の頃です。




──おお!かわいらしいアレンジ。
今のmicrotoneとはちょっと違う感じですね!

ところで、サンプリング音楽作りのきっかけがDeee-Liteとのことですが
最初どのような機材で曲作りを始められたんですか?
私もMPCとかSP1200とかの機材は、雑誌なんかで見てあこがれてました...。

最初に買ったのは、YAMAHA QY-10で、そのあとAKAIのS01という
超安い、と言っても10万円くらいするサンプラーを買って、動かしてました。
カセットデッキで、メタルテープに直接録音していました。
MPCは、23歳位の時に買いました。MPCは本当に良く使いました。


──メタルテープ! 私も昔カセットMTR買いましたが全然使わず...。
miyaさんは普段は会社員としてお仕事をされており、2児のお父さんでもいらっしゃいますが、普段どういったタイミングで音楽制作をされてますか?
まとめて時間を取ってされるんでしょうか。
あと、日常生活と創作活動を両立するコツのようななもの、
ご家族(奥さん)の反応とかもお聞きして良いですか??

トラックは平日夜、曲の部品を作っておいて、週末にまとめて組み立てます。
iTunesに、サンプリングしたい曲のリストを日々作っておきます。
面白い言い回しとか、歌詞は思い付いたらiPhoneにメモします。

そんな風に生活の中で音楽を作る準備的なものを積み上げられるようにします。
仕事の時も同じで、何か取り組むべきプロジェクトがある時は、生活の中で何かしらそのテーマに触れられるよう工夫します。技術的知識の本を毎日風呂で読むとか、語学のCDを毎日車で聴くとか、その程度ですが。

家内は、私の作る音楽にはあまり興味を示さなかったのですが、
今やってるオカベアキラさんとのラップの曲は褒めてもらってます。


──やっぱり週末メインになりますよね。奥さんのご理解もあって良いなー。
私は何となく音楽を作りたいと思いながらも、思うだけで...。
発散というか、それに代わる何かの表現のような意味合いでブログを始めて今にいたります。一般人がやっているこういうのは微妙なもんでしょうか?
自分でもどうなんかなーと思いながら更新しています。

Here,play pop!を読み始めたきっかけは忘れてしまいましたが、いつの間にか
そこで紹介される音楽がiPodに入り始めていました。非常に面白いサイトだと
思っています。音楽の関わり方は人それぞれですし、私も自分がミュージシャン
とは全く思ってません。毎日仕事をしている時間の方が長いですし。。。


──ありがとうございます。さっきMaltine Recordsの名前がでてきましたが、
若い人が作るダンスミュージックって、何歳くらいまで楽しめるんですかねー?
やがてこういうのを受け付けない日がやってくるんでしょうか...。

もちろん好みは変化していくので、そういう時も来るかもしれませんね。
その時は、カラオケスナックでtofubeatsを歌います。


──わぉ!
年齢的なこともあり、若いミュージシャンや音楽好きの若い人との距離感、関わり具合、はたまた年を重ねていくなかでどのように「ポップ音楽」を楽しんでいけば良いのか・・・そんなことを考えるゆえ、なんか人生相談みたいになってしまいスミマセン(笑)

年齢はこの際気にしない方が良いですね。。。
近い将来は老人インディーギターポップも有りですよきっと。


──老人ギタポ!!
ありがとうございます。これからもサイト続けられそうです!(笑)
では最後に、miyaさんの創作活動の今後の予定、
進行中のものや新しい取り組みなどがあれば教えてください。

遅いハウスに興味があります。この夏はBPM90以下の四つ打ちを作りたいです。
あとは、あるアーティストのリミックス集を秋以降にリリースしようと思います。 この夏はとにかく、名古屋でのライブ(プレゼン)2本を成功させます。


──ありがとうございました!
今後の作品も楽しみにしております。





microtone(マイクロトーン)

静岡発のひとりネオアコインディーダンス、ブレイクビーツ、リミックスとイラストレーションのプロジェクト。のつもりが何がどうなったか人力ヒップホップのユニットに。人力プッシュボタン方式とターンテーブルによる、ネオアコとソウル、ボッサを通過後のヒップホップのビートを次々に繰り出すライブパフォーマンスセット『microtone + the band』としても活動している。 soundandlife.jpsoundcloudtwitter

miyaさんの音楽作りをもっと専門的に知りたい人、miyaさんちの会社に興味がある人(?)は、電子書籍 P+M magazineに連載があるのでそちらもどうぞ!
https://onimaga.com/



◆新作EP『雨の中、赤いタワー、さよなら。』も絶賛発売中。
ジャケットのタワーは勝手に東京タワーだと思っておりましたが、なんとなんと!札幌のテレビ塔だったのでした。
hi-channel!さんのバージョン&フジコさんのボーカルも素敵。
miyaさんのラップ&歌詞もシブイですよ...。
KINGBEAT / Amazon MP3 / iTunes



Rev.2.3/October 2014

(新作についてのmiyaさんのコメント)
札幌のテレビ塔は、2011年7月に札幌に行った時にたまたま通り掛かって、
とても懐かしかったので、そのまま曲になりました。
歌詞については、結構さっくり書きます。もともと仕事で、プレゼンテーション
とか案内資料等を作る事が多いので、そのへんのノウハウを使います。
hi-channel!はいつもシンプルにまとめてきますよね。フジコちゃんは歌は
上手いのですが、それ以上に心にくるものがあります。




【緊急告知】
インタビューにもありましたが、microtoneが今週末に名古屋でライブをやります。お近くの人!ぜひぜひ!!

8月11日(土)
Birth-day* presents「Fête de l’été」(フェテ・デ・レテ)

8月12日(日)
Nagoya elepop Meeting【NitroGremlin】vol.3OGPImage

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